5Gと共に頻繁に語られるキーワードに「エッジコンピューティング」があります。特に低遅延が求められるエリアでの運用や、高速移動体間での通信をサポートするために中央集権型のクラウドではなく、ユーザーに近い場所にクラウドの中間拠点を設ける考え方です。エッジコンピューティングも事例化の有望な対象になりますので、今回はその定義から、5Gならではの革新性について考察してみたいと思います。
まず、エッジコンピューティングの定義ですが、例えばNEC技報のWebサイトでは以下のように述べられています。
” NECのエッジコンピューティングは、クラウド層とセンサー・デバイス層の間に配置され、NEC独自の自律分散処理技術、アクセラレータ技術、IoTセキュリティ技術、コネクティビティ技術(抽象化、ゼロタッチコンフィグ)を活用し、システムリソースの効率活用と通信コスト削減、リアルタイム性、高度なセキュリティ、プライバシー保護、アプリケーションの高可用性実現などの、基幹業務で使用できるIoTソリューションの提供を目的としています。”
(出典: https://jpn.nec.com/techrep/journal/g17/n01/170104.html )
私も誤解していたのですが、”エッジ”だからといって、工場やオフィスなどの”現場”で展開されるのではなく、現場と従来のクラウドの”中間層”に置かれるプラットフォームがエッジコンピューティングになります。これにより、大量データの高速・低遅延分散処理が可能になり、AIを活用した分析にしても、ある程度の「下ごしらえ」をエッジコンピューティングに任せることで、大ボスである基幹クラウドの能力を効率的かつ有効に使えるようになるわけです。
また、災害対策の面では、(まず起こりえないと想定してよいですが)、万が一基幹クラウドのデータセンターに障害が発生した際、ある程度の期間・能力で、エッジコンピューティングが現場ユーザーをサポートし続ける、という考え方もできます。
5Gでは1平方キロあたりの端末接続数が4Gの10倍の100万台と言われています。これらの端末・センサーから的確にデータを吸い上げ、分析・フィードバックし、IoTを駆動するためには、エッジコンピューティングは不可欠のテクノロジーと言えるでしょう。