知ってためになる単位の話(5)「すこぶる辛さを示すスコヴィル値」

唐辛子

全国的に梅雨が明けて、本格的な夏到来となりました。夏になると食欲が落ちるせいか、辛いものを口にしたくなりますね。そこで今回は、辛さを示す単位をとりあげようと思います。
辛さを示すにはスコヴィル値(SHU:Scoville Heat Hnitsの略)が用いられます。

この単位は、辛さを測定する方法を考案したアメリカ人科学者「ウィルバー・スコヴィル」の名前に由来します。スコヴィルは、トウガラシのエキスの溶解物を複数の被験者が辛味を感じなくなるまで砂糖水に溶かし、その倍率とすることで、辛さを測定するという方法を考え出しました。

ただし現在では、「高速液体クロマトグラフィー」という計測機器により、カプサイシンの分量を定量的に測定することで求められるようになっており、こちらの使用単位は濃度を示す「mM(ミリモーラー)」という単位が使われます。

このスコヴィル値で表せるのは、唐辛子の辛さに限定され、同じく「辛い」と感じるワサビ(山葵)やカラシ(芥子)の辛さを表すことはできません。
なぜなら、スコヴィル値は、辛みの成分であるカプサイシンという物質の量を測定するもので、ワサビやカラシの辛さはカプサイシンによるものではないからです。

ワサビやカラシは、「シニグリン」という物質がすりおろされる課程で酸素に触れ「ミロシナーゼ」という酵素と「シニグリン配糖体」という成分が反応することで発生するものだそうです。ワサビとカラシは実は、同じ辛味なんですね。たしかにどちらもアブラナ科の植物ですから、不思議ではありません。これらが違うものとして認識されているのは、色と臭いが異なることにあるようです(ワサビの匂い成分は「グリーンシート」と呼ばれます)。

なお、スコヴィル値は同じ種であっても系統や生育地の気候や土壌により10倍あるいはそれ以上の差があるようで、唐辛子の中でも有名な「ハバネロ」は10万〜35万SHUで、一般的に「鷹の爪」と呼ばれる能鷹唐辛子が10万〜12万5,000SHUなので、3倍も辛いということになります。

デスソースともいわれる「16 MILLION RESERVE or 6 AM RESERVE」は、1,600万SHUなので、それに比べたらどちらもカワイイものですが、それでも日本の唐辛子は、他のアジア圏の国々で採取されたものと比較すると、5倍程度辛いそうですよ。