C/U分離とネットワークスライシング

5Gの技術的特性の一つに「C/U分離」というものがあります。「C」はコントロール、「U」はユーザーの意味で、簡単に言うと、「誰が(何が)どの基地局とどのような通信をしているか」という“制御”と、「実際に話している音声(データ)」という”コンテンツ”を分離して管理できる仕組みです。正確にはそれぞれ「コントロールプレーン」「ユーザープレーン」と呼びます。

何がメリットかというと、5G完全普及までの過渡期、4Gと5Gが混在するノンスタンドアロン(NSA)の状況において、 C/U分離の威力が発揮されます。音声通話にしろIoTにしろ、高速で移動しながら通信を行う場合に避けられないのが基地局のハンドオーバー(連続的な切り替え)です。5Gはミリ波の特性から、4Gよりも1基地局あたりのカバー範囲が狭く、高速移動時にいかにきめ細かく基地局を切り替えられるかが課題になります。

そこで「C/U分離」によって、「基地局の切り替え制御は広範囲をカバーする既存4G網を使う」「実際の通信は高速・大容量・低遅延の5G網を使う」というアクロバティックな運用が可能になるのです。

参考リンク: https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200124-00010000-getnavi-ind

他にも5Gには「ネットワークスライシング」という技術が実装可能です。1つの5Gのストリームを”仮想的に”分割し、「大容量通信を行う層」「低速だが超多数接続を行う層」「超低遅延制御を行う層」というように、利用ユーザーや機器ごとに割り当てられる技術です。これは特に、スマート工場の実現に欠かせない技術として期待されています。

「C/U分離」と「ネットワークスライシング」は、4G時代にはなかった新しい概念・技術です。縁の下の力持ち的な”地味さ”はありますが、5G事例取材に臨む上では必修用語と言えるでしょう。

参考リンク: https://bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO4913715029082019000000?page=3