導入事例でマーケティング「どのへんからIoTですか?」

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今年になって、予想通りというかIoT関連の事例取材が増えています。熱中症対策や在庫管理、スマートメーターのデータ管理など、一気に波が来ていますね。一方で、「どこからどこまでがIoTなのか?」という疑問もあります。実は以前から存在していた技術が、少し進化して「IoTぽくなった」ものも、多くあります。今回は導入事例で花盛りの「IoT事例」について、のほほんと考察してみます。

IoT ~ Internet of things の定義

IoTは「モノのインターネット」ということで、一言でいえば、「人間を介さず、モノが直接ネットワークにつながり、何らかのシステムとデータをやりとりする」仕組みの総称です。

例を挙げると、今時期にふさわしい「熱中症対策」のIoT事例を考えてみましょう。真夏の工事現場では熱中症対策が欠かせません。これまでは現場監督が「おい!ちゃんと水呑んでるか?休憩してるか?」など、一人一人に声がけをして様子をうかがうしかありませんでしたが、IoTを使えば、より効率的・正確な見守りができます。

作業者が腕時計のようなセンサーを付け、そのセンサーが、作業者の心拍数や体温、外気温などを逐次、「勝手に」サーバーに送ります。で、「やばい状況」になった時に、現場監督のスマートフォンに警告を送るのです。

これはIoT活用の好例で、コンピュータ技術の面目躍如となる「広範囲・不特定多数のデータ収集」が行われている事例です。IoTは、単にモノがネットワークにつながるだけでなく、N:1やN:Nの、「大規模・広範囲・不特定多数」のデータ活用があって初めて、「うん、IoTだね」と言えるのです。

IoTのリスクってあるの

ビッグデータを高速処理することが可能になったハードウェア、ネットワークの進化、そして高度な自動判断を行うソフトウェアの進化があってこそ、IoTは実現します。例えば東京オリンピックでは、膨大な数の監視カメラの映像をAI(人工知能)で監視し、不審な人物や行動を察知するソリューションが各社から発表されています。

電気自動車メーカーであるテスラもIoT活用の先進企業です。テスラでは、販売したすべての車両の状況を常にネットワークで監視し、自動車のソフトウェアに不具合があれば、一斉に無線でアップデートをしてしまいます。これまでの常識では考えられないリコール対処方法と言えるでしょう。

一方、IoTのリスクは何でしょうか。それは、モノが直接システムと会話することに起因します。ソフトウェアやセンサーに不具合があった場合、それがそのまま『正しい情報」としてネットワークに流れてしまいます。また、IoTの端末は、例えば監視カメラなど一旦設置されてしまうと、ハードウェアやソフトウェアがアップデートされることなく、何年にもわたって利用されるものもあります。セキュリティに脆弱性があっても、パッチなどを充てることができず、一斉にハッキングされてしまうというリスクもあります。

それでもIoTは止まらない

しかし、人の暮らしや社会を豊かで便利に、安全にする仕組みとして、IoTは欠かせないものになりつつあります。そこに、人工知能の進化が拍車をかけます。

冷蔵庫に画像センサー、重量センサー、人工知能を搭載するとどうなるでしょう。食材の利用状況や賞味期限を冷蔵庫が自動的に把握・分析し、足りなくなった食材はネットスーパーに自動発注、賞味期限の切れた食材は自動廃棄、という世界は、まったく夢でもなんでもありません。冷蔵庫のように「24時間電気が流れている」デバイスは、実にIoTに向いているのです。

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