動画事例制作をスムーズにするためのTIPS(2)

image無事に撮影が終わった動画事例。約1週間~10日で、最初の編集(試写と言います)がアップします。そしてここからが大変。映像についての修正事項をどうやってとりまとめて、スムーズかつ効率的に制作を進めればよいのでしょうか。

誌面と違い、意外と大変な動画のチェック

編集が完成した動画は、当社の場合、URL非公開のYouTubeにアップしてクライアントに展開します。編集した動画をそのままデータ便などで送ってしまうと、ダウンロードに時間がかかり(確認用に圧縮しても100メガ以上になります)、「ダウンロードが面倒だから後で確認しよう」という、タイムロスが発生しがちだからです。YouTubeならば、スマホでもすぐ確認していただける上、ダウンロードの手間・時間も必要ありません。

しかしここで、重要なポイントは、動画の修正指示の「お作法」を、きちんとクライアントと共有してお
くことです。何故でしょうか。

 

メールでやりとりすると段々混乱することに。。。

例えば「試写が出来上がったので〇日までに確認して、修正点を連絡してください」とだけメール本文に書いて、クライアントに送ったとします。クライアントの担当者は(時には複数)、YouTubeを行ったり来たりしながら、以下のような方法で修正点を列挙していきます。

  • メール本文に直接「〇分〇秒~〇分〇秒まで削除」「〇分〇秒の字幕を△△に訂正」などと箇条書きで記載する
  • YouTubeの画面キャプチャーをパワーポイントに貼り、そこに吹き出しで修正点を付け加える
  • 撮影台本のワードに、変更履歴とコメントで修正点を書き込む

といった具合です。いずれの方法もクライアントにとって、負荷のかかる作業であるうえ、複数の担当者がいる場合には、全部バラバラの形式で修正指示が戻ってくることになります。

そしていずれの方法でも問題なのは、映像を修正するプロダクション担当者にとっては「時系列が直感的に分からない」ことなのです。

 

オススメは、時系列で修正点が把握できる管理シートを用意すること

例えば、「〇分〇秒~〇分〇秒まで削除」とあっても、結局は編集映像を辿っていかないと該当箇所が把握できません。また、修正箇所が必ずしも時系列にならないため、映像を行ったり来たりしながら修正することになります。

パワーポイントの修正指示でも同様です。「このシーンはどこのシーンだっけ」と探しながら、修正を進めることになります。

撮影台本に書き込めば時系列にはまとまりますが、あくまで台本に過ぎず、「あるインタビューカットのこの台詞の時に、この映像を挿入してほしい」といったピンポイントの指定は非常にやりづらいものです。

そこでお薦めが、インタビューの字幕を制作し、それを分解した「字幕シート」を作成することです。字幕は、1回に表示できる文字数が日本語なら25文字~30文字程度と制限されるため、おのずと細かく分割された「字幕シート」ができあがります。

<字幕シートのサンプル>graph01(※クリックで拡大)

この字幕シートのセル(あるいは列を追加して)、該当字幕の行に、赤字で修正事項を書き込んでもらいます。もともと細かく分割されているため、クライアントは「〇分〇秒から~」と書く必要はありませんし、編集するプロダクション側も、一目でどの箇所の修正か分かるため、迅速かつ間違いなく、修正を進めることができるのです。

字幕シートにはもちろん、画像を張り付けることができるので、細かな図版の修正指示などは、セルを大きく広げて修正指示の画像(パワーポイントで作ったものなど)を張り付けていただきます。

複数のクライアント担当者がいる場合でも、この「字幕シート」は大変有効です。クライアント担当者同士も、他の修正コメントを見ながら書き込むので、矛盾した修正指示や、重複した修正指示を避けることができます。

動画の校正作業にはこのような「字幕シート」の活用をぜひお薦めします!

 

英語字幕の注意点

この「字幕シート」にはもう1つ大きな利点があります。それは、海外版を制作する際の英語字幕の文字数制御です。一般的に、英語に翻訳すると文字数が1.5倍に増えるため、英語字幕が画面に追い付かない・・・といった事態が頻繁に発生します。

<翻訳例>

日本語:導入を決定したのは2015年の7月でした。
英 語:We have decided to introduce the product in July 2015 .

そこで「字幕シート」の出番です。セルに関数が仕込んであり、日本語/英語字幕の「最大文字数」「実際の文字数」「超過文字数」が出るようになっています。これを見ながら字幕を分割することで、「いざ英訳したら字幕が全然入らない!」というリスクを回避することができます。

以下は、字幕シートを用いて当社が実際に制作した海外版です。

いかがでしたか?

動画事例は、誌面事例とは異なる局面で手間とコストが発生しがちです。しかし、ちょっとしたフォーマットを用意することで、思いのほか進行管理が楽になります。ぜひお試しください。

 

まとめ

  • 動画事例の校正において肝心なのは「修正指示のお作法」をクライアントと共有すること
  • 時系列で直感的に修正箇所が判断しやすく、複数人の修正依頼をまとめることができる「字幕シート」の活用がお薦め
  • 英語字幕の作成の文字溢れは、日本語字幕作成の段階から文字数レベルでチェックすること