知ってためになる単位の話(3) 「今日は、フレンチでメートルとインチを食す」

前回、「単位の接頭辞(SI接頭辞)」という話を引きずり出しました。今回は、SIの話…と思ったでしょうが、まだ、引っ張ります。(いずれ、どこかで…)
今回の主役は、「m(メートル)」です。普段、メートルとはなんぞやと改まって考える機会は、まずないでしょう。それだけ、私たちにとってなじみのある長さの単位です。

定規
メートルは、古代ギリシャ語のmetron、ラテン語のmetrumを起源とする名称で「測ること」「ものさし」を意味するフランス語です。参考までに英語だと「メーター」です。電気や水道の使用量を測る計測器をこう呼びますね。

日本語の中に取り込まれている多くの外国語の中で英語が占める割合が高いのに、なぜ単位は「メートル」というフランス語を使用するのか不思議ではありませんか。ちゃんと理由があります。メートルは、自然発生的に生まれた単位ではなく、1790年にフランスのシャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴールが普遍的な物理量基準の必要性を提唱し、これを国民議会が承認して基準づくりが始まったことに由来します。

今や、長さの単位として世界中で使われるメートルですが、もともとはフランス産なのです。その後、世界的に共通の単位が必要となり、広く使用されるようになりました。ただし、USA、ミャンマー、リベリアの3カ国は、今でもインチを使っています。「人工的に作られた単位は生活の中で使用するのに不適切」というのが、その理由とか…。PCのパーツ交換をするとき、ミリネジとインチネジがあるのは、USAがインチを使っているからなんですね。

さて、1mの定義は、何度も修正されてきましたが、現在では、以下のように定義されます。

” 真空中で光が1/299,792,458秒間に進む距離 “

・・・・。

私の頭では、完全に理解することは不可能なので、このあたりは、測定している「セシウム原子時計」さんに任せて、私は気のおけない仲間と呑みにでかけ、メートルをあげることにします。
イマドキのナウいヤングは、「メートルをあげる」などといってもわからないかもしれませんが…。