前回の続きです。当社のある秋葉原から電車に乗って一つ目の浅草橋は戦後少しまで栄えた花街柳橋が近くにあり、今でも当時の面影を残す佇まいが少しは残ってます。とんかつ屋の「百万石」もその一軒。昼はとんかつ定食オンリーですが夜は気の利いたつまみで酒も飲めます。昔気質の頑固風な親父さんと御多分にもれず愛想のいい奥さんとの老夫婦コンビで切り盛りされてます。
特筆ものはこのお店の建物です。築60年程は経ってますでしょうか。お世辞にも大きなお店とは言えませんが、お店の中に値の張りそうな石が配置された中庭があり、
その中庭を挟んでカウンタ―席に小上がりがある飲み所と15人程が会食できる座敷部屋、ちょっと訳アリカップルが逢瀬を楽しめるんじゃないかと想像しちゃう4畳半ほどの座敷があります(笑)。
トイレは中庭を通らなければ行けないので雨の日は傘をさして用を足しに行くことになりますが、今時こんな贅沢な造りのお店は見たことがありません。もちろん高級な有名料亭は別でしょうが居酒屋値段でこんな雰囲気はなかなか味わえるもんではありません。
親父さんは2代目で跡継ぎがいないそうですので是非一度は寄ってみてください。昔栄えた柳橋の粋な風情も感じられますよ。
浅草橋駅近辺には有名な立ち喰い寿司のお店や桜鍋が有名な居酒屋など多々あるのですが人通りは少なく、ちょっと寂しい感じががします。飲み屋がひしめいている浅草、上野御徒町、神田という街が近くにあるからでしょうか。ただ落ち着いた雰囲気で飲みたいならお薦めの街です。最近は若い世代が始めたいいお店もちらほら。ネオンに飽きたら是非寄ってください。
私は札幌生まれなのですがススキノ近くの屯田通りという今ではすっかり寂れてしまったのですが、当時は浅草を小さくしたような街で映画館も2件ほどある下町で育ちました。昼は夜に働く女給さん、今で言うホステスさんたちも多く住む、ガキにはチョット刺激的な街でした(笑)。親父には小さい時分から鮨屋や甘味所に連れていかれましたが、なぜか浅草橋近辺でその当時を思い出してしまいます。
昔から続いているお店は多くはありませんがまだ何件かあり、昔は賑わった街が今は寂れたことを思うと、なおさら子供の頃の記憶を刺激するのもしれません。
今日は昔を思ってしっとり飲むか・・・。