世の中に「5Gで何ができるか」「世の中がどう変わるか」という記事はごまんとありますので、このブログでは取材という視点から、5Gのトピックや重要キーワードを追っていきたいと思います。第1回は「センターB事業者」です。
5Gによるビジネスモデル革新は、ドコモやKDDI、ソフトバンクなどキャリア自体が直接展開するものよりも、「キャリアが提供するプラットフォームを利用して様々な企業が独自サービスを展開するもの」の方が、圧倒的なすそ野の広がりがあります。5Gにおけるそのプレーヤーの呼称が「センターB事業者」です。
(マーケジンに分かりやすい記事があります https://markezine.jp/article/detail/31798 )
5Gが関係するソリューション取材においては、この「センターB事業者」に対するものが多くなります。例えば、工場の生産ラインの最適化を図るソフトウエアを開発しているベンダーが、5Gを活用して工場の超リアルタイムモニタリングサービスをクラウドで提供する ─ ─といった構図です。
言い方を変えれば、現在BtoB、あるいはBtoBtoCのサービスを提供している企業は、アイデアと投資次第で5Gを自社のビジネスモデルに組み込み(あるいはまったくのゼロから創造して)、センターB事業者になる可能性があるのです。
先行者利益を考えると、5Gの技術的特性とインパクトを理解し、従来より飛躍的に進化したサービスをリリースできるかどうかは、多くの企業にとっての命題となります。単純な話、「自社がやらなくてもいずれ他社がやる」からです。
IT業界においては、多少の不具合はおいといて「とりあえずやっちゃう」のは非常に重要なアクションです。そして「業界初の5Gを活用した●●をリリース」という”事実”をマーケティングに生かすために、導入事例の公開は欠くべからざるものになります。
事例を取材する側としては、どの企業がどんな構想をもってセンターB事業者になろうとしているのか、動向をウオッチしておく必要があります。また、そこには業界が抱えていた何らかの共通課題が存在するはずです。なぜ5Gならその課題が解決できるのか? 5Gの基礎的な技術特性もディレクター、ライター(時にはカメラマンも)は知っておかなくてはなりません。
いずれにせよ、当初はノンスタンドアロンとローカル5Gをベースに日本でも商用利用が進む5Gは、我々取材する側にとっても、ワクワクするものであり、大きなビジネスチャンスになりそうです。
別の発想から言えば、「5Gの超高速通信・低遅延」特性を生かした遠隔取材/同時通訳/自動文字起こしなど、取材業務そのもののデジタルトランスフォーメーションも考えられます。取材スタッフのクリエイティビティ最大化に5Gがどう役立つのかということも、このブログでは考察していきたいと思います。