導入事例ほど「継続性」が重要視されるコンテンツはありません。数が少なければ「ユーザーが少ない」と思われますし、新しい事例がなければ「最近は売れていない」と思われてしまいます。事例の継続的な制作における重要な指標とは何でしょうか?
「はじめたらやめられない」事例制作
なんだか脅し文句みたいですが、ある意味事例は「怖いコンテンツ」と言えるのです。その訳は、ご自身が、製品を売る側でなく、「買う側」だと思って考えてみると良く分かります。例えば、あるソフトウエア(もしくはサービス)を購入しようとした時、どうするでしょうか?既に知っている製品がない場合、多くの場合はインターネットの検索から情報収集を始めると思います。製品のウェブサイトを見て、なかなか良さそうなA社・B社・C社が見つかったとしましょう。次にどんな情報を“知りたい”と思うでしょうか?
事例があるのは最低条件、そこから先はどうなるか
各社のウェブサイトを見たところ、C社の製品は性能がもっとも良さそうだったのですが、導入事例の紹介は1件もありませんでした。一方、A社・B社はそれぞれ導入事例が公開してありました。やはり他社の先行事例があるのは社内稟議を通す上でも良い材料なので、事例のないA社は候補から外すことにします。
日付が2年前では“最新事例”どころではない
B社のサイトでは導入事例が10件以上公開されていました。いくつかの記事を読んだところ、なかなかの評価を得ています。「B社に問い合わせてみようかな」と思ったその時、あなたは何か違和感を覚えます。
「あれ、この事例古くない?」
記事のインタビュー中に出てくる導入時期を見直してみると、一番新しい事例でも2年前でした。さらに見直すと、この企業は2~3年前に収集して事例を作成した後、ソフトがバージョンアップしているにも関わらず、事例を公開していないのです。「最近は売れていないのかな・・・」と思い、B社への問い合わせは考え直します。
事例でまず重要なのは“鮮度”と“頻度”
最後にC社の事例を見てみます。C社の事例数は5つ程度ですが、一番新しい事例は3か月前のもので、それ以外の事例は、だいたい半年おきに公開されていました。事例が計画的に制作されているのが伺えます。結局、C社にまず見積りを依頼することにしました。
・・・以上は架空のストーリーですが、事例の「見え方」という意味では真実です。事例は野菜と同じく、鮮度と出荷時期が非常に重要なコンテンツなのです。これが「はじめたらやめられない」という意味です。事例コンテンツは製品の販売促進に絶大な効果を発揮するツールですが、作りっぱなしで放置してしまうと、じわじわと「悪さをするコンテンツ」に変容していってしまう、怖さもあるのです。
事例の数が増えてきた時に必要な“分類”
鮮度と頻度を重視しながら事例制作を経年的に続けていくと、次に出てくる課題が事例の適切な分類です。製品・ソリューションの持つ効果は、その特性により一つではありません。「生産性向上」「コスト削減」「セキュリティ強化」など複数の効果をもたらす場合がほとんどです。
事例の数が増えてきた際(目安として10事例以上)になった時期には、まず導入目的別の分類をお薦めします。そうすれば、事例を見るために企業のウェブサイトを訪れた潜在顧客に対して、自社の課題に近い事例をスムーズにご案内できるからです。企業規模別に分けるのもありますが、有用度と言う意味では、最初は「目的別」がよいでしょう。その場合、課題別にコーナーを分ける以外に、各事例に「ラベル」を貼る方法も便利です。
事例は1つ1つのコンテンツはもちろんですが、蓄積していく事例に対しての「運用」の目線が効果最大化のために欠かせません。その運用が不安、という場合には運用ノウハウを持つパートナーにアウトソースするのが良いでしょう。
■まとめ
・導入事例は継続してこそ真価を発揮するコンテンツ
・事例の継続制作に欠かせない視点は“鮮度”と“頻度”の管理
・事例の数が10本を越えたら、まず導入目的別の“分類”を