自動車と交通網を進化させるC-V2Xと5G

5Gの有効活用分野として自動運転・交通インフラ制御は外せない。キーワードとなるのが「C-V2X」だ。2017年のKDDIの通信サービス用語集( https://www.kddi.com/yogo/ )によるとC-V2Xの定義はこうだ。

読み: しーぶいつーえっくす 英語名: C-V2X

C-V2Xとは、自動車と歩行者、他の車両、道路設備、ネットワークとの接続や相互連携を実現するコネクテッドカー技術の1つ。Cellular-V2Xの省略形。自動運転車両の実現に役立てられる技術要素でもある。
C-V2Xは、歩行者と直接コミュニケーションするV2P、車両と直接コミュニケーションするV2V、信号機や街灯などの道路付属設備と直接コミュニケーションするV2I、そしてネットワークを介して歩行者、車両、設備と通信するV2Nの4つを指す。
V2Pを活用することで、歩行者との接近を警告して衝突事故を回避したり、V2Vで近くの車両が突然動き出すのを予測したり、渋滞をあらかじめ検知することが可能。また信号機の切り替わりを認識して車両側で停止、発進の判断を自動化することにもつながる。

2017年03月29日 更新

このように、車両・設備・歩行者間の遅延のない通信を実現する上で5Gが活きてくるのである。
自動車を運転していて、前方にトラックが走っており、追い越していいのかどうか困るシーンがあるだろう。C-V2Xが実現すれば前方を走行するトラックの車載カメラ映像をリアルタイムで自分の車に転送し、見ることができる。あるいは、視界がよくない曲がり角の先に、歩行者が何人いるのかを、曲がる前に警告を出せる。

ICTによって運転者の「視野・感覚」を拡大し、より安全な交通社会の実現に寄与するのがC-V2Xだ。また、車両同士が直接通信し、接触事故を防ぎながら自動運転を行える。実現のためには車両だけではなく、信号機や監視カメラなど交通インフラ全体のイノベーションが必要になる。その市場は膨大だ。グローバル競争の中、「世界標準」を目指せば、C-V2X関連企業にとっての成長につながる。

またC-V2Xのテクノロジーは、一般交通網だけでなく、災害地や危険地帯での建機運用などでも役立つ。人間が立ち入れない高温・低温・大気環境において、精密な遠隔運転・操縦を支援するからだ。

C-V2Xは、自動車産業だけでなく、ロボット産業へも波及する期待のテクノロジーと言えるだろう。